きわめて局地的なグルメマップ
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雨の中の猫
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「Chez Kikusui」(シェキクスイ)

洋食 河原町荒神口 交差点下る西側
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・総点

18

 点/100
   
   
9  点/50
   

7

 点/20  
   
サービス 1  点/15  
   
対費用効果 1  点/15  
   

 

 
 評価に関する詳細は
「採点基準について」をご覧ください。
 

寸評:二度と行きたくありません。こういう店をよいという人は信用できません。

 

 

 古い洋食店があった。なんとはなしに雰囲気がありしっかりとした店構えをしていたが、長い間閉店したままであった。覗いてみると古い椅子が埃をかぶっていた。京都に住み始めた頃にはすでに店は閉まっており、だが張り紙によるといずれ再開するつもりはあるらしい。ずっとその日を待っていたが一向に再開される気配はなかった。
 ついに去年、新たに店を作り直し、営業が再開された。それがこの店である。

 

 全てがお話にもならない。語るだけ時間の無駄ではないかと思われるほどだ。どんなひどい店でもこれがあれば一応は飲食店として認められ、なければいかにおいしい料理を作れようが店とは認められないというものがある。それはプロ意識である。この店にはそれがない。素人の道楽である。
 ページの無駄だが一応項目ごとにコメントしておこう。まず、味。基礎がなっていない。ダシの取り方が根本から間違っており、全体的に水っぽくってべしゃべしゃだ。全ての料理の基礎となるところがまるでなっていないためどの種の料理であれひどいものである。オーナーは閉店期間にどこかで修行してきたとの話だが、ろくに教わってないんではなかろうか。カリっと香ばしく仕上がっていなければいけない焼き物や揚げ物がふやけてしまって食べられたものではない。これは技術やセンスの問題ではない。それでお金を頂くために料理の道に入ったものは誰でも知っているような、一番最初に教えられる基礎ができていないというだけである。体系的に料理を習っていない素人はそういう基礎やコツを知らずに作るので、どれだけセンスがよくまとまっていてもどこか抜けた味がする。この店で出されるのはそういう料理である。
 次、質。粗悪というほどではない。良くもない。どんな店でも多少は季節のものを置いたりする。例えばチェーンのカレーショップであれ、この季節限定で夏野菜のカレーを出す。その程度の心遣いはある。そういう配慮のなされていないところは、そこらの業務用のものと変わらない。今はインフルエンザのため手に入りにくくなってしまったが、ひところ業界で一世を風靡した中国産一羽10円の業務用ニワトリ程度のものである。しかしどんな素材であれ、この扱いはひどい。そうした野菜や肉をつくってくれた人に申し訳ないとは思わないのか。
 サービス。論外。ここが一番ひどい。客をなめている。何かの間違いかもしれないと、うっかり4、5回も来店してしまったがそのたびにプロの接客業としてはあってはならないことを目にした。まず大した手間もかけていなければ混んでいるわけでもないのに料理が出てくるのが遅い。店主の身内なのだろう、接客しているおばさんがいい年をして客に対する言葉づかいを知らない。他の客と注文を取り違えてもあやまりもしない。極めつけは子どもである。店主の子なのだろう。小学校低学年くらいの子どもを客が食事している店内で遊ばせている。冗談のような話だが、食事時のそこそこ客の入っている店内で、店にしつらえてあるピアノをそれが弾いているのだ。しばらくあきれ果てて食事する手も止まった。普通に想像できるだろうか、奥のどこか離れた部屋にあるとかではない(それでも問題だが)、客のいるフロア、厨房よりも客側にあるピアノを、しつけのなっていない餓鬼が下手糞にかきならしているのである。誰だって目を疑うだろう。味のことにせよ何にせよ、ここの店主は金を取って客に食事とサービスを提供するということを学びなおしてきた方がいい。
 対費用効果。こんなものに金が払えるか。いいかげんしろ。
 実に時間の無駄に感じたが、今時ほんとうにこんな店があるのだ。サービス・対費用効果については0点をつけてもよかったが、もっとひどい店が現れた時のために取っておいた。Manjer Bienの時にも書いたが、この店のある荒神口界隈は飲食店の激戦区である。例えば西欧料理系だけでもBISTRO B、 Manjer Bienをはじめとしてそこそこ食べられる店が軒を連ねている。何よりL'Artisanがすぐ近くにある。これらの店の中でほんとうにこのままやっていけると思っているのか。悪いことは言わない、潰す前にさっさと閉店してもう一度5年なり10年なり修行してきた方がいいだろう。

(2004/7/18)

 日記にも書いたが時期を置いて再来店してみた。そのまま転載する。

  メインサイトのグルメマップであれほど「Chez Kikusui」を酷評した以上、時期を置いてまた行ってみなければならないと思っていた。この店に限らず、グルメマップで極端な点、つまり40点以下か60点以上か、をつけた店には半年に一度くらいは味を見に行くのが義務のような気がしている。実は今日は別の店で昼食をとるつもりだったが、そちらが混んでいたのでそのまま再来店してみた。行ってみてまた激怒した。

 まず最大の問題だった接客やサービスだが、少しマシになっていた。店員がちゃんとお客に申し訳ありません、と言っているのを耳にした。謝れるようになったようだ。だがあくまで論外の範囲内でマシになっただけのことである。子供が客席隣のピアノをかき鳴らすことはなくなったが、相変らず二匹、厨房と客室で埃を立てて遊びまわっている。ねえ、これ蝶の幼虫だよ、知ってる、と芋虫を持っている子供が厨房にいるようなレストランはもう潰れてくれていい。信じられない人が多いでしょうが実話です。

 料理に関して、質は少し良くなったようだ。野菜は無農薬農家と契約しているのだという。その割に味はないが、少なくともそこらのスーパーの野菜よりは上と言えるものを使っている。肝心の味であるが、最初に出てきたサラダとスープは前回よりマシになっている。これまた論外の範囲の中で、マシになっただけの話だが。まったく味の無かったスープは、ややきつめの塩味がするようになった。ここまでなら、味、質、それぞれ一点ずつ追加しようかとも思っていた。

 だがメンディッシュが以前よりも酷かった。酷いなんてものではない、料理の根本からしてなっていない。わたしは心の雄山が踊り出そうになるのをじっとこらえた。注文したのはスズキのポワレである。ポワレというのは難しい料理だ。失敗も多い。しかし、やや焦げたポワレが出てくるのを見たことはあるが、魚を半ば茹でたものをポワレと言って出してくる店は初めてだ。皮はぐにゃぐにゃ、身は水びたし。ソースらしきものが皿に溜まっているのだが、ソースというより水っぽいスープである。お話にならない。さらに取り合わせが最悪だ。ポワレは蒸し料理でありながら、銅鍋で皮をサクサクと仕上げカリっとした感じを出すのが旨いのである。なのにクタクタになるまで茹でた野菜の上に乗せてどうするのだ。仮にポワレが完璧でも、野菜の水気を吸って台無しになってしまうではないか。料理センスの無さもさることながら、その料理体系の基礎からなっていない。なるほど、確かに野菜は地の無農薬物、サラダよりは味があるのは分かった。だが野菜だけ取ってみても、大根など根野菜とその他葉野菜を同じだけ茹でては葉野菜は腰も味もなくなってしまう。スープの出汁ならまだ分かるのだが、これでは野菜を作ってくれた農家の人がかわいそうだ。その上珍妙な茹で焼き魚を乗せられ油っぽいのに味は無いソースをかけ回されては残飯以外の何物でもない。久しぶりに半分近くを残してしまった。

 デザートはややマシだが、それでも不味い部類に入る範囲の話だ。隣のカップルの女性の方がが、デザートはおいしい、と食後をコーヒーだけにしたらしい男に言うのが聞こえたがそんなことはない。三種、無花果のタルト、クリームブリュレ、ミントのアイスクリームが乗っていたがどれ一つとして甘味ばかりが強い。キレをまったく感じない鈍重な味である。味が無い、にほぼ等しい。許し難いのはこの程度の腕前で堂々とミントのアイスクリームを出してくるあつかましさである。この料理人には恐れはないのか。ミントは何に使うにしても、非常に難しい食材である。何も知らない素人はガムの清涼剤のイメージで気軽に思っているのだろうが、一度でも扱ったことがあればあの難しさを知らないはずもない。ミントは一見さっぱりしているようでいて、あの味と匂いの個性は非常にそれ自体がくどいのである。ちょっと加減を間違えるだけで、ミントの匂いばかりが目立った非常に下品な味になる。ミントのリキュールでも同じである。ミントとテキーラで作るエバ・グリーンというカクテルがあるが、あれを飲めたものに作れるだけでバーテンダーとしてはたいしたものだ。たいていはくどくアクばかり目立つ味になる。これもその例に洩れていない。

 そして嫌々金を払おうと厨房に近づいたら、その入り口に二人しゃがみこみ芋虫で遊んでいるのである。もう飲食店としては救いようの無い店舗である。二度と行きたくもないが、また数ヵ月後に同じように考え行ってしまうのだろうと思う。

(2004/11/21 追記)

 

 

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