きわめて局地的なグルメマップ
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雨の中の猫
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・採点することについて

 

 第一にまちがえてはならないのは採点すること自体が必ずしも是とはされないということである。いかにお金を払い客の立場としてサービスを受ける身であるとしても、そこで与えられた食に敬意を払いありがたくいただくのが正しいという側面は確かにある。そもそもいかなエピキュリアンであれ一日の食にも事欠く人が現に存在するという事実の前に、自己を正当化する言葉を持ちはしまい。

 ではなぜただ店を挙げるだけではなくわざわざ採点するのかと問われれば、わたしがそうしたいからだという他に人に示せる理由はあるまい。何かしらの根拠をつけそれを正当化することをわたしは好まない。美をむさぼるのを好むと同様、そうしたことをするのが好きなのであろう。

 従ってここでなされる判定は非常に主観的なものである。おおかたの人はわたしの採点全てには同意しまい。恐らく美食家として常識を外れた教育を受けてきてはいるし、それにかかわる感覚も驚かれるというよりはあからさまに示せば気味悪がられるほどに鋭敏である。自分で料理もする。公平な比較でないのは重々承知だが、電話帳に載っている料理屋を適当に十店選べばまずどの店よりもおいしい料理が作れるだろう。そこまでの自負を持ってはいるが、それでもなおこの採点は個人的なものの域を出まいと思う。ほとんどの人はわたしがおいしいと思うものをあまりおいしいとは思わないであろうし、わたしが不満を持つ料理でも十分満足できるだろう。これを見る方々はどうかその点を留意して、わたしのつけた採点にあまり惑わされないようにお願いしたい。

 なお、採点に関する問い合わせや、まずないであろうが抗議などには一切応じない。以上で述べたようにこれはわたしの趣味と主観の問題である。一般的においしいとかまずいとかを問題にしているのではない。わたしの口にあうかどうかだけを問題にしているのである。何かを人に言われたところで自分の好みが変わるはずもない。当然、これを見る方々もわたしの採点などによって自分の好みを変える必要はまったくない。

 

・採点基準について

 

 営業形態やジャンルの異なる複数の店舗を同じ俎上で論じるという本来不可能なことをやろうとする以上、それなりの基準やめやすのようなものがあると便利であろう。100点満点で採点するとして、以下のような基準を設けてみた。なお、ここで想定しているのは店に入ってそこで店員に注文し、その店で食べて帰るという形の店舗である。これにあてはまらないものを採点することもあろうが、とりあえずは不問とする。

・採点項目

 「味」
 わたしにとっては最も重要な項目である。出された料理がうまいかまずいか、それに尽きる。なお、仮に項目名は「味」としたが、その中には例えば香りであるとか食感や料理の見た目の美しさ(当然使われている食器も含む)なども含まれる。

 「質」
 料理の生理学的な質である。体に悪いものは含まれていないか、素材は真正のものを使っているかなどを評価する。誤解されるといけないので書いておくが、料理の質と味とは別のものである。個人的な見解であるが、美食とは味と質を貪るものである。単なる旨いもの好きであれば、味のよしあしだけで満足するのかもしれない。わたしもむしろバランスの取れた美食家というよりは、味至上主義に陥りがちなものであるので、もしその料理の味が本当に優れたものであるのならば、どれだけ体に悪いものや真正のものでなくとも、例えば化学調味料や合成素材にまみれていようとも、よいのではないかとも思うことがある。しかしまったく不思議なこととしかいいようがないのだが、ほんとうにおいしいものは必ず質の面でも優れたものであるし、質の悪い食でおいしいと思えるものに出会ったことは一度もない。なお、アルコールは生理学的には毒物という側面もあるが、これに含めないこととする。

 「サービス」
 食品試験会場であるとか実験室のようなところで味だけを調査するのならともかく、美食と言う以上それを快楽として貪るのである。ならば当然、それを味わう環境にも配慮がなされるべきではないか。具体的には、店員の対応のよしあしであるとか、注文してから間断なく料理が提供されるか(もちろんその種類によってはそれが不可能なものというのも存在する。例えば注文してすぐにオニオングラタンが出てくるような店には高い金を払うべきではない)、店の内装であるとかもし音楽がかけられているならばその具合、あるいは規模に対しておいている従業員の数などを総合的に評価したものである。

 「対費用効果」
 これは上の三項目と関係をもつ。それらの基準で判定した上でわたしが提供されたものに対して払ってもよい(正当な対価としてこのくらいを支払うべきであろう)と思った金額より料金が安ければ高い点が与えられるし、高ければ当然減点される。

・配点

 100点満点で採点されることとし、その内訳は原則として

 
「味」

:50点

「質」 :20点
「サービス」 :15点
「対費用効果」 :15点

とする。一見してわかるようにこれもまたわたしの好みが反映されている。バランスの取れた感覚の人ならば全て25点に配点するかもしれないし、あるいは味などよりもまず安いことが大事だと考える人は「対費用効果」(あるいは単に価格というべきか)にほとんどの点が配分されるだろう。
 なおこの配点はあくまで原則とする。ここで想定されていることの外に何かしら評価が与えられなければいけないようなタイプの店舗というのは当然あるだろうし、中にはわたしが考えていた限りの上限と思われるものを凌駕するほどに優れたものもあるだろう。そうした原則外の採点がなされた場合は必ずそのことをコメントに併記するものとする。

・店舗の選定

 これに挙げられている店舗は非常に偏ったものである。わたしの偏った好みのままに選ばれているので当然といえば当然なのだが、何も無軌道に取り上げているわけではない。わたしの生活にたまたまかかわりをもったもの、つまり良きにつけ悪しきにつけなにかしらのインパクトをわたしに与えた店であるか、日常の中でかかわりを持たざるを得ないような店を挙げている。もちろん、そうした条件にあてはまりながら、ここでは取り上げることのないような店舗もある。多くの場合それは、今のわたしの生活圏(わたしの世界と言ってもよい)から外れてしまったような店であろう。悲しいことにわたしの生きる範囲はどんどん狭まってゆくし、自分の世界の外にあるものを語るような言葉をわたしは持たない。いずれまたそれが広がりそうした店舗が自分の生活の中に組み入れられることがあれば、そうした店舗について書くこともあるかもしれない。
 なお、採点にかかわることであるが、点をつけるのは違う時期に最低限3回、できれば5回以上訪れたことがあり、なおかつそのたびに違うものを注文したことのある店だけであるとする。なんらかの事由によりこの基準に満たないような店を載せる場合、採点は行わず番外とし、コメントをつけるだけにとどめることとする。

・採点の基準

 モースの硬度計というものがある。まだ科学技術がそれほど発達していない時代に鉱物の硬さを調べるために考案されたもので、ダイヤモンドや石英、トパーズなど十種余りの鉱物を指標としている。調べたい鉱物をその指標とこすりあわせることでその相対的な硬さを調べるのに使われた。例えば石英とこすりつけたら石英に傷がつき、トパーズとこすりつけたら鉱物の方に傷がついたならば、その鉱物の硬度は石英とトパーズの間、つまりモース硬度7以上8以下、となる。絶対的な基準が設けにくいものを評価する時に、このモースの硬度計に似たものがあれば、非常に便利であろう。
 そういうわけで各採点項目ごとに、いわばモースの硬度計でいえば指標鉱物となるべきものをあらかじめ設けておくことにした。とはいえ指標となりうる店舗の数は多くはないし、そもそもモース硬度ほどの細かさは必要ないであろう。よって各項目ごとに数個づつ、おおまかな目安となるべき店舗とその点数を挙げておく。もちろん指標であるので誰でも知っていて一度は入ったことがあるような店舗のみで作成するのが望ましいのだが、残念ながらそれでは点数の範囲を十分にカバーできないと判断し、あまり知られていないような店舗も基準の店として挙げてある。これらのどの店もわたしは10回以上入ったことがあり、その基準としての判断にそれほどの間違いはないであろうことをあらかじめ述べさせてもらう。
 なお、「対費用効果」については価格というそれなりわかりやすい基準がすでにあるのでこれを設けない。目安としてわたしが払ってもよいと感じる金額とほぼ同額であれば7点。倍額以上を取られれば5点以下、半額以下であれば10点以上となる。あくまで客の立場として安ければよいとして判定したが、しかし、わたしは必ずしもそれが相応すべき価格よりも安い価格で提供されることが美食にとってよいとは考えないが。
 ここで指標として挙げられている店舗については、いずれ全て取り上げ評価を書くつもりのものであることを付記しておく。

 「味」(50点満点)

 
41〜50点
至上の美味。あだやおろそかには食べられない。来店する以上、こちらも何がしかの覚悟をもって臨む。
 基準店: ストーリー京都(45点)

 

31〜40点
満足できる味。定期的に通いたくさせるには十分のものがある。
 基準店: 琢磨(32点)

 

21〜30点
平均的。満足できるとはとても言えないが、不満を言うと怒られるだろう。
 基準店: Manjer Bien(27点)

 

11〜20点
まずい。できることならば食べたくはないが我慢しなくてはならないこともある。
 基準店: なか卯(14点)

 

0〜10点
食べられたものではない。およそ食品というよりも腹を満たすための物理的要素と考えた方がよいだろう。
 基準店: マクドナルド(7点)

 「質」(20点満点)

14〜20点
真正な素材によって作られている。あまり化学調味料は感じられない。
 基準店: Manjer Bien(15点)

 

7〜13点
特別な素材を使っているわけではないが、それほど粗悪ということもない。化学調味料も控えめ。
 基準店: ビィヤント(11点)

 

0〜6点
調理でごまかしようのないほど素材の粗悪さがわかる。化学調味料の味が食後30分ほど口に残る。
 基準店: マクドナルド(2点)

 「サービス」(15点満点)

11〜15点
美食を貪ること以外を考えさせない。全てに対して気持ちのよい配慮がなされている。
 基準店: ストーリー京都(15点)

 

6〜10点
許せる範囲のサービス。あたりまえのことの六割はできている。
 基準店: ぞろんぱ(8点)

 

0〜5点
食を楽しむに差しさわりがある。多くのことがきちんとできていない。客をなめている。
 基準店: The King and I(3点)

 

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