雨の中の猫：きわめて局地的なグルメマップ

　営業情報などの点でこの店について説明しなければならないことは何一つあるまい。むしろなぜわざわざマクドを紹介するのかについて語るべきだろう。採点基準のところで述べたように、点数をつけるということについての一つのスタンダードとして、こうした店は便利なのである。たいていの人がその味を知っており、日本中ほぼどこでも安価に食べることができる。実際の味や質ということ以上に、このことは評価されてしかるべき貢献であると思う。
　なおチェーンであるためどこの店を取り上げてもあまり違いはないと思うが、比較的利用した回数の多い百萬遍の店舗を挙げてある。このことにとりたてて意味はない。

　ひとつの基準として捉えている以上、味について語るのは意味があるまい。むしろその目盛りとしての位置を「7」に置いたことであるが、それは幾分操作的なものである。つまり、今後他の店を評価する際に、マクドの下に7つ分の目盛りが欲しかったのだ。質についても同様である。
　サービスに関してのことを言えば、もともと評価基準を決める際にモデルケースとして想像したのが、個人経営あるいはもう少し規模の大きいレストランであるため、こうしたファーストフード店に対しては多少不利な評価となっている。もしマクドの店員や設備で美食をするならと考えて点をつけたのだが、やはりセルフサービスというのは多少減点せざるを得まい。また店内に立ち込める独特の香りも味わいの邪魔になるであろう。客が去ってからテーブルが片付けられるのが遅い。これらは全てファーストフードやファミレスのほとんどの店に言えることで、それらの店舗としての平均をマクドが下回っているという意味ではない。一方で評価できる点としては、注文してから出てくるまで待たされる時間がほぼ無いこと、マニュアルの所産ではあるが、少なくとも論外と言えるような対応をする店員にめぐり合うことがめったにないこと、が挙げられる。
　対費用効果は、これはなかなか評価に困った。美食を楽しむという観点からすれば、とても点は与えられない。一方で時間もなくまたお金もあまりかけられない時、安価で手早く（つまりファーストフードとして）腹を満たせられる点からすれば、あの価格は評価されてしかるべきである。何より入店してから食事をして出るまでの時間が節約できるのは、数あるファーストフードのなかでもマクドが一番ではないかと思われる。これらのことを考慮して幾分多めに点を与えることにした。味と質を捨てて、時間とお金の節約に特化すること、また同じ品質、同じ味の食品を安定して全国規模で提供していること。これらの点でこの店舗の右に出るものはまったくあるまいと思われる。

（2004/7/14）

雨の中の猫

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